『いたずらと後悔』













「あっちぃー…」



強い日差しで暑い日が続く中、ユウとはせっせと花の植え替えをしていた。



「何で俺がこんなことしなくちゃなんねェんだよ!!」

「ごめんねユウ。
 せっかくのお休みなのに手伝わしちゃって…。」

「そこじゃねェ! 何で俺が土いじりなんぞ手伝わなきゃなんねェんだよ。
 別に家ン中の荷物の整理でもいいじゃねェか。」



なぜか花の植え替えを手伝わされている神田は不満を口にする。
荷物の整理というのは、二人の入籍を気にこの家へ引っ越して来たので、まだ入籍して日が浅いためたくさんの整理されていない段ボールが残っているのだ。



「だって…。 プランターを移動させるのを手伝ってもらうついでに、植え替えも手伝ってもらおうと思って……。
 それが終わったら家に戻ってもいいから。

 ……ね?…おねがい。」



そう言って少し首を傾けて、上目づかいにお願いされては断れるわけもなく……。



「……………〜っ、わーったよ!!
 やりゃーいいんだろ、やりゃ!!」

「ありがと、ユウ。」



神田はスコップ片手に、不貞腐れながら最後までを手伝う事となった。














暑さのため流れ落ちる汗を、首から下げたタオルで拭きながら花を植えかえ、すべてのプランターをの指示通りに移動させ終えた神田は「もーいいだろ。」と言ってさっさと家の中へと戻ってしまった。

そんな神田のそっけない態度には怒る訳でもなく、その背中に向かって手伝ってくれた事へのお礼を言う。
そして神田の背中を見送った後、は額ににじむ汗をぬぐい、後片付けに取り掛かった。



後片付けを終え、ついでにと玄関の掃除をし始めすべててを終えたはようやく家の中へと戻った。








「わぁー…涼しー。」



リビングに入るとそこはクーラーが効いていて、今まで暑い外にいたは生き返るようだった。



「ユウー、どう? 何かすすん……………


…………って、ねてる…。」



の視線の先にはテレビの前にあるソファーに座って背もたれにもたれかかって寝ている神田の姿があった。
DVDレコーダーとテレビを繋ごうとしていたのかその手にはDVDレコーダーの取扱説明書が握られている。



「ユウには悪いことしちゃったかな?
 せっかくのお休みだったのに…。」


ソファーの上でグッスリと寝ているユウを見てはそうつぶやき、クーラーの風で体を冷やさない様にとタオルケットを取り出し、神田に掛け神田をじぃーーっと見つめる。
いつも家にいるときは髪をおろしている神田の髪の毛を見て、の心に悪戯心が芽生え始めた。




























「…………ん…。」



ソファーで寝ていた神田は、リビングと連なっているキッチンから漂ってきたいい香りに誘われて目を覚ました。
そして、自らに掛けられたタオルケットの存在に気がついた神田は、礼を言うためにキッチンにいるだろうのもとへ向かう。





。」

「あ、起きたんだ。」

「あぁ。 、コレ……って何ニヤけてんだ?」

「なんでもないわ。
 それよりもうすぐご飯できるから、手、洗ってきて?」

「…あぁ。」



なぜか凄くニヤニヤしているを不審者を見るような目で見つつも、言われた通りに手を洗うために洗面所へと向かう。






そして、洗面所にある鏡での悪戯に気づき神田の驚きの声と、ドタバタというこちらに向かってくる足音を聞いて、はこらえきれずに声に出して笑う。



「なんだよこれは!!」

「何って…いたずら?」

「テメェッ!!」



キッとを睨んでいる神田の髪は、によってお団子頭となっていた。



「いいじゃない。 どうせ今日はもうどこにも行かないんだし。
その方が髪の毛全部まとめたから、首回りがすっきりして涼しいでしょ?」

「よかねぇよ!!」

「それに、よく似合ってるわよ? そのお団子。」

、テメェ…覚えてろよ。」

「え゛っ!?」

「今日の夜も長くなりそうだなぁ!!


  …なあ、?」



神田のその一言で、二人の立場はさっきとすっかり逆転する。




この日神田家には、

この怒りをどうしてくれようと、とてもいい顔をしたユウと、
なぜあんな悪戯をしたんだと後悔にさいなまれるの姿が見られた…









………らしい…。










END



あとがき



スコップと神田…

それはそれで可愛い……かも…?





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