バン!!


「コームーイ!!」



勢いよく司令室の扉を開いて、大声でコムイの名前を呼びながら入ってきた
走ってコムイの前にやってくるの姿はとても20代には見えない。



「やあ、。」

「あ、コムイが珍しく起きて仕事してる!!」

「イヤだなー、。 ボクだって、たまにはちゃんと仕事するんだから。」

「たまにはじゃなくて、いつもちゃんと仕事しなきゃリーバーたちが可哀そうだよ?」

「いーの、リーバー君だから。

それより、ボクに何の用なんだい?」

「あ、そうだった。
コムイ、Trick or treat!!」



司令室にきた本来の目的を思い出したは、お菓子をちょーだいと両手を前に出す。

今朝アレンがお菓子を大量に抱えているのを見て、今日がハロウィンだという事を知ったコムイ。
お菓子を求めて絶対に自分の元へ来るだろう彼女のために用意したものを取り出す。



の事だから絶対ボクのところへ来ると思って、ちゃんと用意しておいたよ。」

「ホント!?」

「ジャーン!! ボクの特製手作りクッキーだよ。」

「……コムイの手作りなの?」

「そうだよ。
ボクのへの愛と、その他モロモロがたくさん詰まったクッキーなのさ☆」

「(その他モロモロ……?)
…えっと、せっかくだけどコムイの気持ちだけ受け取って、クッキーは遠慮しとくね?」



コムイから差し出されたクッキーを、素直に受け取ろうとした
だが、そのクッキーがコムイの手作りだと聞いて思わず受け取るのをためらってしまう。

さらに、そのクッキーにその他モロモロが詰まっていることを知ったは、コムイには申し訳ないがクッキーを受け取ることをやめた。



「えぇ!! どうしてだい!?」

「だって、コムイの手作りなんでしょ? 絶対普通のクッキーじゃないもん!!」

「せっかくボクがのために作ったのに…。 思ったよりうまく焼けたのに…。

せっかく…。 せっかく…。


……………グスン…。」

「ご、ごめんね?」

「ふーんだ…。」



に特製クッキーを受け取ってもらえず、ショックを受けたコムイは、に背を向けて三角座りで床に『の』の字を書き始めた。

なんだかものすごく自分が悪い事をしてしまったように思えてきたは、コムイの正面に回り顔を覗き込んで謝る。
しかしコムイに顔をそむけられてしまう。



「ねぇ、コムイごめんね。 だからこれで許して?」

「っ!? ……………そんなんじゃボクの機嫌は直らないんだからね。」



何とかして許してもらおうと、はコムイの頬にキスをするが、コムイは顔をうつむけてクルッと後ろを向いてしまった。
後ろを向いたコムイの髪の間から見える耳が、赤く染まっていることに気がつかないまま、はコムイの肩を掴みガタガタと揺さぶり始める。



「コームーイー!! お願いだから機嫌直してー!!」

「…。」

「ねぇってばぁーー…ムグ!?」

「はぁ…。 仕方がないからそれで許してあげるよ。」

「………もしかしてこれって…。」

「うん、クッキー。」



の不意打ちのキスにすっかり機嫌が直ったコムイ。
だが、顔の熱を冷ますためにしばらくに揺さぶられていたが、不意に振り向いて素早くの口の中へ放り込む。

とっさの事に反応しきれず、は思わずコムイ特製クッキーを飲み込んでしまった。



「な、な、な……。 食べちゃった…!!」

「大丈夫、ただちょっとネコ耳が生えてくるだけだから。」

「え!? 嘘!! 冗談だよね!?」

「ホントだよー?」

「な…!?」



ボフン。



軽快な音とともに、の頭からは猫耳が生えてきた。



「ね? 本当だったでしょ?」

「ニ゛ャーーーーーー!!」


















『Trick or treat!!

        -お菓子をくれなきゃ、悪戯するぞ!!-』
「にゃにゃ にゃにゃにゃ にゃーー!! (何するのよー!!)」

「大丈夫!! すごく似合ってるよ☆」

「にゃん にゃにゃー…。 (もう、いやぁー…。)」

「クッキーと言えば、昨日リーバー君が僕のリナリーにクッキー買ってくるように頼んでいたっけ?」











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