10月31日の昼下がり、今日もせっせと働く科学班のみんなに、リナリーとはドリンクの差し入れを行っていた。
「はい、リーバーさん。 レモンソーダです。」
「おぉ、ありがとな。」
「リーバーさん。 朝からずっと働き詰めですよ? 少しは休憩してください。」
「そういやぁ、そうだっけ? でも、この資料今日中に仕上げなきゃならないからなぁ…。」
「でも、働き過ぎて倒れちゃたら元も子もありませんよ?」
「それもそうか…。 じゃあ少し休むとするよ。」
自分より5つも年下の可愛い彼女に、そう言われてしまえば聞かないわけにもいかず、本日初の休憩を取ることに。
「そう言えば、リーバーさん。 Trick or treat!!」
「ずいぶんいきなりだなぁ、。」
「今思い出したんです。 お菓子くれませんと、いたずらしちゃいますよ?」
「(その上目使いは反則だろ…。) ちょっと待ってな。」
少し上目づかいにそう言うにキュンとしながら、リーバーは、自分の引出しの中を探る。
やがて目当てのものが見つかったのか、「あったあった」と言いながら取り出したのは、紙袋だった。
その紙袋からはとてもいい香りが漂ってくる。
「ほら、この前が行ってみたい言ってた店のクッキーだ。
昨日リナリーに頼んで、ここを抜けだせないオレの代わりに買ってきてもらったんだよ。」
「わぁ!! ホントだぁー。 ここのお店美味しいって評判なんです。
ありがとうございます、リーバーさん!!
あ、リナリーにもお礼言わなきゃ。」
「どういたしまして。 喜んでもらえて何よりだよ。
オレからのお礼を言っといてくれ。」
「わかりました。
……でも、ちょっと残念です。
リーバーさんの事だから、ハロウィンの事なんかきっと忘れちゃってて、いたずら出来ると思っったのに…。」
前に自分が話していたことを、リーバーが覚えていてくれた事を嬉しく思う反面、
きっとハロウィンの事なんか忘れているであろうリーバーに、いたずらが出来るといたずらする気満々だったは少しガッカリする。
そんな様子のに、自分がハロウィンの事を覚えていたわけを話す。
「忘れるわけないだろ?
去年、何も用意していなかったオレに、室長と一緒になってに悪戯されたからなぁ…。
あんな悪戯は2度とごめんだから、今年はちゃんと用意してたんだよ。」
「むー…。」
「いつまでもそんな顔してないで、ホラ。」
まだ残念そうにしているを見て、リーバーはの腕の中にある紙袋からクッキーを1枚取り出して、の口元へと持っていく。
はそのクッキーに、カプッとかぶりつき口をモグモグさせる。
そんなをやさしい目で見ながらリーバーは話を続ける。
「ところで。」
「なんですか?」
「Trick or treat。」
「えっ…!? (ど、どうしよう…何も持ってないよ!!)」
「お前のことだから、オレに悪戯することだけ考えてて、何も用意してないだろ?」
「どうしてわかったんですか!?」
「の事だからなー。
さてと、もう少し休憩しててもバチはあたんねェよな?」
「えっと…その…?」
「今からオレの部屋に行くからな。」
「………イヤです…って言ったら……?」
「の部屋でもいいぞ…? なんならここでも……」
「……ゴメンナサイ…。」
『Trick or treat!!
-お菓子をくれなきゃ、悪戯するぞ!!-』
「どんなイタズラするかなー?」
「うー…。
…あ、アレン君だ。 なんだかとてもウキウキしてますね。」
「あぁ。 ……あっちでは神田がケーキ食べてるぞ…。」
「え!? …ホ、ホントですね……。」
「ラビが女の子と手ェつないでる。 オレたちもつなぐか?」
「は、はい…。(リーバーさんと手、つないでる!!)
…なぜか女の子疲れた顔してませんか?」
「(、照れてる…。) …何でだろうな。」
「あ、ネコミミ…。」
「…。(絶対、室長関係だ!!)」
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